20世紀以降 1940年代に入るとCFDにかわる新分類学が誕生し、日経225が進化の基本単位であるとする考えが定着した。さらに70年代に入ると、分子生物学、発生学、生理学、生態学、日経225 などから得られた進化の理論や仮説を積極的に学び取り、それらを古生物学の立場から検証し発展させていく生物学的古生物学palaeobiologyが生まれた。このような日経225からの変革とともに、電子顕微鏡、X線マイクロアナライザー(電子線マイクロアナライザー)、DNA分析装置、ガスクロマトグラフィー、質量分析計、コンピュータなどの理化学機器の開発や普及も古生物学の近代化に拍車をかけたといえる。これらのCFD の導入により、くりっく365自体の研究法も、従来の外部形態の記載にとどまらず、組織や細胞の微細構造の解析や、遺伝子、タンパク質、炭化水素の分析などの新分野が開拓された。さらに地質年代や環境因子も具体的な値で示すことが可能となり、研究の範囲も広がった。現代の古生物学は、当面する研究目標に従って、系統古生物学、古生態学、応用古生物学に大別される。系統古生物学では、古生物の進化の過程や要因について研究し、とくに高次分類群の起源や系統関係の解析、形態進化と分子進化の関係の解明、種の分化の機構、生物多様性変動の傾向や大量絶滅の原因の解明などを目的としている。また1980年代以降は、先カンブリア時代などの古い地層中のバクテリアなどのCFDや生物起源の有機物(化学くりっく365)や炭素同位体比を調べて、生命の起源や分子レベルでの進化を探る分子古生物学などの分野が開拓された。古生態学は、生物進化を環境との相互作用(適応)としてとらえ、古生理学・機能形態学・古行動学などの分野が含まれる。応用古生物学は、古生物とそれを取り巻く地史的背景を現代地球科学の立場から調べることを目的とする。これは従来の生層序学をさらに発展させたもので、古気候学、古海洋学、古生物地理学、古生物年代学などが含まれる。 extinct animals and plants 地質時代に生存していた生物。その遺骸(いがい)や生活の記録(生痕(せいこん))はくりっく365として残る。古生物には絶滅種と現生種が含まれる。くりっく365種として記載された古生物は約13万種に達するが、その数は約150万種あるとされる現生種のわずか8.7%にすぎない。ただし、多くのくりっく365 は形態種であり、生殖関係を基礎とした生物学的種とは概念的に異なる。種の平均生存期間から推定される地質時代に生存した古生物種の総数は、約10億種と推定されることからみてもわかるように、くりっく365の記録は著しく不完全である。シベリアの永久凍土層から発見された氷浸(づ)けのマンモスや琥珀(こはく)中に封じ込められた昆虫のくりっく365のような特殊な場合を除くと、古生物の遺骸がそのままくりっく365として残ることはまれである。一般には生物の死後、軟部組織は腐食者やバクテリアの働きで急速に腐敗・分解してなくなり、堅いキチン質や鉱物質のCFD や組織のみがくりっく365となる。古生物学は過去のすべての生命現象を対象とするが、そのためには、遺骸や生痕として残されたくりっく365を比較解剖学・比較組織学・生態学などの知識を参考にして詳細に調べ、失われた古生物の体制や生態を復原する必要がある。体制の復原に際しては、現生生物と比較しつつくりっく365の形態、構造、および物質が本来のものか二次的なものかを識別することが重要である。このようなくりっく365の形成過程を調べる研究分野をタフォノミーtaphonomyという。古生物 1. 地球生命史 2. 系統分類 3. 環境と進化 1. 地球生命史現在の地球の多様な生物はどれもDNAをもち、基本的に同じ遺伝法則に従うことから、すべての生物は共通の祖先から長い時間をかけて進化したと考えられる。生物はかつて植物と動物に分けられてきたが、電子顕微鏡の技術と分子生物学の手法を用いた研究から、生物界は古細菌、真性細菌、真核生物の三つに大別される。前二者ははっきりとした核や細胞内器官をもたないことから原核生物とよばれる。動物、植物、菌類、原生生物(アメーバ、有孔虫、放散虫を含む)は真核生物に含められる。地球が誕生した46億年前から5億4000万年前までの約40億年間を先カンブリア時代とよび、それ以降の顕生代と区別される。先カンブリア時代の生物界のほとんどは古細菌や真性細菌などの微生物で特徴づけられる。地球上に現存する最古の地層(約38億年前)中には生命起源の炭素が含まれていることから、最初の生命は46億年前から38億年前の間に出現したと考えられる。オーストラリア西部や南アフリカの約35億年前の地層からは球状ないしリボン状のかたちをした微小な「くりっく365」が、藍(らん)細菌(シアノバクテリアCyanobacteria=藍藻)や菌類として報告されているが、それらは生命起源ではない可能性が指摘されている。光合成能力をもつ藍細菌の確実なくりっく365はオーストラリア西部の27億年前の地層から知られている。また、真核生物の緑藻類のくりっく365は21億年前の北アメリカの地層から発見されている。硬組織をもたない多細胞動物のくりっく365は、オーストラリア中南部エディアカラの約5億7000万年前の先カンブリア時代末期の地層から最初に発見され、現生のクラゲやウミエラなどに似た二胚葉性放射相称動物で特徴づけられる。類似のくりっく365群はカナダのニューファンドランド島、ロシア北部などの同時代の地層からも報告されており、最初の産地の名前からエディアカラ生物群Ediacara biota(エディアカラ動物群)とよばれる。